ゴミ屋敷という深刻な状態はある日突然生まれるわけではありません。その背景には必ず生活の乱れを示すいくつかの「前兆」が存在します。そしてその最も分かりやすくそして危険な前兆の一つが「生ゴミの放置」が常態化することです。なぜ生ゴミの放置がそれほどまでに危険なサインなのでしょうか。それは生ゴミの処理が日々の生活を健全に維持するための最も基本的なタスクの一つだからです。生ゴミは他のゴミと違い放置すれば腐敗し悪臭を放ち害虫を呼び寄せます。そのことを誰もが本能的に知っています。その最も基本的な衛生管理すらもできなくなっているということはその人の心身がもはや正常な状態ではないということを強く示唆しているのです。ゴミ屋敷化への最初のステップは多くの場合キッチンのシンクから始まります。食後の食器をすぐに洗わずシンクに溜め込むようになる。三角コーナーの生ゴミを何日も放置するようになる。この小さな「後回し」が常態化し始めると危険信号です。これはうつ病や重度のストレスによる意欲の低下の典型的な現れです。次にそのゴミがゴミ袋に入れられても家の外に出されず玄関先やベランダに溜め置かれるようになります。「ゴミ出しの日を忘れる」「分別が面倒くさい」「朝起きられない」。その理由は様々ですが根底にあるのは社会的なルールに沿って行動するための精神的なエネルギーが枯渇しているという状態です。この段階になるとコバエなどが発生し始め衛生状態は急速に悪化します。そして最終的にはゴミを捨てるという行為そのものを完全に放棄してしまいます。腐った生ゴミも他のゴミも区別なく部屋の中にただ積み重ねられていく。ここまで来るともはや自力での回復は極めて困難です。シンクに一つ二つと洗い物が溜まり始めたら。それはあなたの心が発している小さなSOSかもしれません。そのサインを見過ごさず自分自身の心の声に耳を傾けることが、ゴミ屋敷という深い沼に足を踏み入れないための最も大切な予防策なのです。
生ゴミがゴミ屋敷化の第一歩!その前兆とは