ゴミ屋敷に野良猫が住み着くことは、単に猫が増えるだけでなく、すでに劣悪な環境をさらに悪化させる要因となります。野良猫たちの存在が、ゴミ屋敷に新たな衛生問題と構造的な損傷をもたらすからです。まず、最も深刻な問題の一つは、排泄物の増加です。多数の野良猫が住み着くと、その排泄物も必然的に増大します。家屋の床や壁、ゴミの山の中に排泄された糞尿は、強烈な悪臭を放ち、周辺住民に多大な迷惑をかけます。この臭いは、通常の清掃では除去が困難であり、建材に染み付いてしまうと、特殊な清掃やリフォームが必要となるケースも少なくありません。また、排泄物はカビや細菌の温床となり、衛生環境を一層悪化させ、様々な感染症のリスクを高めます。次に、ゴミの散乱が加速するという問題があります。野良猫たちは、食べ物を求めてゴミ袋を漁ったり、ゴミの山をかき分けたりするため、せっかくまとめられたゴミも再び散らばってしまいます。これにより、ゴミ屋敷の片付けは一層困難になり、さらなる不衛生な状況を生み出します。さらに、猫の爪とぎによる家屋の損傷も無視できません。壁や柱、家具などを爪とぎの場所として利用するため、建物自体が傷つき、構造的な劣化を早める原因となります。これは、賃貸物件の場合は、高額な原状回復費用に繋がる可能性もあります。また、猫の鳴き声も近隣住民にとっては大きな騒音問題となり、人間関係のトラブルに発展することもあります。野良猫の存在は、ゴミ屋敷の衛生環境を悪化させるだけでなく、建物の損傷を早め、近隣住民との関係を損なうなど、複合的な問題を引き起こすため、早期の対処が求められるのです。